小規模企業共済制度の現状について

小規模企業共済制度

小規模企業共済制度とは、小規模企業の経営者や役員が廃業や退職時の生活資金に困らないためにお金を積み立てる仕組みを言います。この小規模企業共済制度は掛金が全額所得控除できるといった税制メリットだけでなく、事業資金の借入れもできる安心かつお得な退職金制度です。

ここではそんな小規模企業共済制度の今について見ていきたいと思います。

小規模企業共済とは?

小規模企業共済ですが、最新のデータでは全国で約162万人の方がこの制度を利用しています(2023年3月現在)。近年加入人数は年6~10万人で推移していますが、平成22年以降は加入者数と脱退者数が逆転、在籍人数は増加に転じています。また、資産運用残高は約11兆1,313億円で、令和4年度の受給状況としては共済金受給額が約5,333億円、共済金受給額の平均は1,116万円に、共済金受給者の平均在籍年数は約20.5年となっています。

共済契約者の年齢構成

小規模企業共済の新規契約者の年齢を見ていくと、「41~50歳」が33.6%と全体の1/3と最も多く、「31~40歳」が22.5%と続きます。平均年齢は48.4歳となり、50歳手前といった人生の先を見据えた頃に契約する方が多いようです。なお、在籍者平均は57.8歳となっていますが、61歳以上の方の割合が全体で42.1%となっています。

参考「独立行政法人中小企業基盤整備機構」小規模企業共済制度の現状について

共済契約者の掛け金月額別の構成

小規模企業共済加入者の掛け金については、新規加入者および在籍者とも掛金月額「60,500~70,000円」の割合が全体の4割前後と最も高くなっています。ちなみに5,000円以下の掛け金という方も、新規加入者および在籍者とも全体の1割程度いる現状がありますが、全体平均は新規加入者で月額3.9万円、在籍者で4.2万円ほどとなっています。

共済契約者の在籍者業種について

小規模企業共済加入者の業種別在籍者を見ていくと、「サービス業」が全体の約35%、次いで「建設業」が約20%、「小売業」が15%前後、「不動産業」が約10%、製造業は約5%程度、「運輸通信業」が2%前後となっています。

小規模企業共済が小規模企業の経営者にとってメリットのある理由

小規模企業共済には、以下のような3つのポイントがあります。

ポイント1. 掛金は加入後も増減可能、全額が所得控除

小規模企業共済の月々の掛金ですが、1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定可能で、加入後も増額・減額できます。掛金は前納ができ、前納した場合には一定割合の前納減額金を受け取ることができます。なお、確定申告の際に全額を課税対象所得から控除できることもあり、高い節税効果があるとされています。

ポイント2. 共済金の受取りは一括・分割どちらも可能

小規模企業共済の共済金は、退職や廃業時に受け取り可能ですが満期や満額はありません。なお、共済金の受け取り方法ですが「一括」「分割」「一括と分割の併用」の3つから選択可能です。その際には一括受取の場合だと退職所得扱いに、分割受取の場合には公的年金等の雑所得扱いとなるなど、税制メリットもある点がポイントです。

ただし、「分割」「一括と分割の併用」を希望する場合は、次の要件の全てを満たす必要があります。

  • 共済金Aまたは共済金Bであること
  • 請求事由が共済契約者の死亡でないこと
  • 請求事由が発生した日に60歳以上であること
  • 共済金の額が次のとおりであること
    分割受取りの場合:300万円以上
    一括受取りと分割受取りの併用の場合:330万円以上(一括で支給を受ける額が30万円以上、分割で支給を受ける額が300万円以上)

ポイント3. 低金利の貸付制度が利用可能

小規模企業共済の契約者の方は、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度が利用可能です。低金利かつ即日貸付けも可能で、「一般貸付け」「緊急経営安定貸付け」「傷病災害時貸付け」「福祉対応貸付け」「創業転業時・新規事業展開等貸付け」「事業承継貸付け」「廃業準備貸付け」などさまざまな貸付制度を利用できます。

小規模企業共済の共済金(解約手当金)について

小規模企業共済の共済金の種類ですが、契約者の立場および請求事由によって受け取れる共済金の種類が異なります。

ケース1. 個人事業主の場合

共済金等の種類 請求事由
共済金A 個人事業を廃業した場合 ※1,2
共済契約者の方が亡くなられた場合
共済金B 老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金 個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をした場合 ※3
解約手当金 任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)
個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合 ※3

※1 複数の事業を営んでいる場合、すべての事業を廃止していることが条件となります
※2 平成28年3月以前に配偶者または子へ事業の全部を譲渡した時は「準共済金」となります
※3 平成22年12月以前に加入した個人事業主が、金銭出資により法人成りをしたときは、「共済金A」となります

ケース2. 法人(株式会社など)の役員の場合

共済金等の種類 請求事由
共済金A 法人が解散した場合
共済金B 病気、怪我の理由により、または65歳以上で役員を退任した場合 ※4
共済契約者の方が亡くなられた場合
老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金 法人の解散、病気、怪我以外の理由により、または65歳未満で役員を退任した場合
解約手当金 任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)

※4 平成28年3月以前に、病気または怪我以外の理由による退任をしたときは、「準共済金」となります

ケース3. 共同経営者の場合

共済金等の種類 請求事由
共済金A 個人事業主の廃業に伴い、共同経営者を退任した場合 ※5,6
病気や怪我のため共同経営者を退任した場合
共済契約者の方が亡くなられた場合
共済金B 老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方)
準共済金 個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をする場合
解約手当金 任意解約
機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合)
共同経営者の任意退任による解約 ※7
個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をする場合

※5 事業主が複数の事業を営んでいる場合、そのすべての事業を廃止していることが条件です
※6 平成28年3月以前に、配偶者または子へ事業の全部を譲渡した時は「準共済金」となります
※7 転職、独立開業、のれん分けなどで共同経営者を退任した場合も任意退任扱いとなります

いずれのケースもそうですが、掛金納付月数が6か月未満の場合「共済金A」「共済金B」は受け取ることができません。また、12か月未満の場合「準共済金」「解約手当金」は受け取れませんので注意が必要です。

共済金の受取額

小規模企業共済制度は、掛金の納付月数および共済事由によって受け取り可能な基本共済金(固定額)が規定されています。また毎年度の運用収入等に応じ、経済産業大臣が毎年度定める率によって算定される付加共済金がある場合、その金額が加算されます。

ただし、掛金納付月数が240か月(20年)未満で任意解約をした場合には掛金合計額を下回ってしまいます。加入期間が240か月以上であっても途中で掛金を増額・減額した場合で掛金区分ごとの掛金納付月数が240か月を下回った時には、任意解約した際に受け取れる解約手当金が掛金合計額を下回る場合があるため注意が必要です。

(例)月額掛け金が10,000円で契約していた場合

掛金納付年数 5年(掛金合計額:600,000円)
共済金A 621,400円
共済金B 614,600円
準共済金 600,000円

 

掛金納付年数 10年(掛金合計額:1,200,000円)
共済金A 1,290,600円
共済金B 1,260,800円
準共済金 1,200,000円

 

掛金納付年数 15年(掛金合計額:1,800,000円)
共済金A 2,011,000円
共済金B 1,940,400円
準共済金 1,800,000円

 

掛金納付年数 20年(掛金合計額:2,400,000円)
共済金A 2,786,400円
共済金B 2,658,800円
準共済金 2,419,500円

小規模企業共済制度の税法上の取り扱いについて

小規模企業共済制度の共済金および解約手当金は、受け取る際の年齢や一括・分割などの受取方法によって税法上の取扱いが異なります。そのため、受け取る際にはどの所得区分に該当するかをしっかりと確認しておきましょう。

受取方法 税法上の扱い
共済金または準共済金を一括で受け取る場合 退職所得扱い
共済金を分割で受け取る場合 公的年金等の雑所得扱い
共済金を一括・分割併用で受け取る場合 (一括分)退職所得扱い

(分割分)公的年金等の雑所得扱い

遺族が共済金を受け取る場合(死亡退職金) (相続税法上)みなし相続財産
65歳以上の方が任意解約をするまたは65歳以上の共同経営者が任意退任をする場合 退職所得扱い
65歳未満の方が任意解約をするまたは65歳未満の共同経営者が任意退任をする場合 一時所得扱い
12か月以上の掛金の未払いによる解約(機構解約)で解約手当金を受け取る場合 一時所得扱い

ちなみに小規模企業共済制度の掛金は、税法上では全額を小規模企業共済等掛金控除として課税対象となる所得から控除可能です。また1年以内の前納掛金も同様に控除できます。ただし、掛金は共済契約者自身の収入から払い込むものとなるため、事業上の損金または必要経費には算入できませんので覚えておきましょう。

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